柏市の交通事故と慰謝料 ~通院期間3か月と6か月でどれほど変わるか~

柏市の交通事故と慰謝料 ~通院期間3か月と6か月でどれほど変わるか~

千葉県柏市は、首都圏をつなぐ主要道路が交差する場所に位置し、国道6号線や国道16号線、常磐自動車道が通る交通の便の良い場所です。しかし、交通量が多くなれば、それだけ交通事故も多く発生しがちです。ここでは、千葉県柏市の交通事故の発生状況、そして、交通事故によって怪我を負い通院を余儀なくされた場合に請求できる慰謝料について、通院期間が違うとどれだけ金額が変わるのかをみていきたいと思います。

1.千葉県における交通事故の発生状況

千葉県警の統計によると、平成28年に全国で発生した交通事故の件数は、499,201件で、その内千葉県での交通事故の発生件数は、18,022件でした。そして、交通事故による死者数は、全国では3,904人で、千葉県は185人でした。また、負傷者は、全国では、618,853人で、千葉県は、22,396人でした。

千葉県内の交通事故においては、死者数が多いという特徴があり、交通事故による死者数は、全国ワースト2位です。

平成28年の死者数の多い都道府県のワースト5は、次のとおりです。

1.愛知県 212人(前年比-1人)

2.千葉県 185人(前年比+5人)

3.大阪府 161人(前年比-35人)

4.東京都 159人(前年比-2人)

5.北海道 158人(前年比-19人)

ワースト5には、交通量が多い又は車を使用する機会の多い都道府県が入っていることは当然ともいえますが、この中で千葉県のみが前年より死者数が多くなってしまっています。

2.柏市における交通事故の発生状況

平成28年の千葉県の交通事故の発生件数は18,022件ですが、その内の1,238件は、柏市で発生しています。そして、柏市では、交通事故により10人が死亡し、1,458人が負傷しています。

柏市の交通事故について、前年との比較でみると、発生件数や負傷者は減っているものの、死者数は前年より4人増えています。

また、柏市での交通事故のうち402件が高齢者を対象とするもので、負傷者は224人、死亡者は4人となっており、高齢者が交通事故の被害に遭いやすいといえます。

なお、事故の内容としては、車同士によるものが多く、その多くが交差点又はその付近で発生しています。

こういった交通事故に巻き込まれることは、決して他人事ではなく、誰もがありえることです。しかし、生涯において何度も起こることではないため、交通事故による問題が生じた場合でも、対処法を熟知している人はほとんどいないといえるでしょう。

では、もし交通事故に巻き込まれて被害者となってしまい、その怪我の治療のため通院することになった場合に、加害者側に請求できる慰謝料の額は、通院期間によってどのように変わるのでしょうか。

3.交通事故で請求できる慰謝料とは

交通事故の被害に遭った場合には、加害者側にその損害の賠償を請求することができます。そして、慰謝料は、この賠償金に含まれる一部で、精神的な苦痛に対して支払われるものです。

慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つの種類があります。入通院慰謝料は、交通事故による怪我で入院や通院をしなければならなくなった場合に請求できるものです。そして、後遺障害慰謝料は、交通事故による怪我に後遺症が残った場合に、認定された後遺障害等級に応じて支払われるものです。また、死亡慰謝料は、交通事故により死亡してしまった本人とその遺族に対して支払われるものです。

これらのうち、交通事故による怪我の治療のため通院することになった場合に請求できる慰謝料は、通院慰謝料です。通院慰謝料の額は、通院期間が基準となり、その金額が決定します。

4.通院慰謝料の3つの相場

通院慰謝料は、通院期間を基準とした相場が決められていますが、その相場には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があります。そして、その基準によっては、通院慰謝料の相場が大きく異なってしまいます。

(1)自賠責基準

自賠責基準とは、強制加入が義務付けられている自賠責保険によって定められている基準です。この保険は、加害者が被害者のために最低限の補償をするために設けられているので、その性質上3つの基準の中で最も低い金額の相場が設定されています。

(2)任意保険基準

任意保険基準とは、任意保険会社が独自で設定している基準で、原則として公開されていません。しかし、保険会社は、営利企業なので、被害者に支払いをする場合でも、その支出を抑えようとする傾向があります。ですから、通院慰謝料の相場は、自賠責基準よりは多少高いものの、弁護士基準よりは低く設定されています。

(3)弁護士基準

弁護士基準とは、裁判所の過去の判例をもとに、弁護士会が設定している基準です。3つの基準のうち、最も高い金額の相場となっています。

交通事故の被害者となった場合、加害者側の任意保険会社が提示する相場をもとに、示談で通院慰謝料額を決定することが多いのですが、ここで提示される相場は、あくまでも保険会社が独自の基準で作った「任意保険基準」です。ですから、金額に納得できない場合や算出根拠に疑問がある場合には、弁護士に依頼し、弁護士基準による相場で慰謝料請求の交渉をすると良いでしょう。基準によって大きく金額が変わることを実感できると思います。

5.通院期間3か月と6か月で慰謝料の金額はどれほど変わる?

交通事故による怪我の通院期間が3か月であった場合と6か月であった場合とでは、慰謝料の金額は、どれぐらい違うのでしょう。

まず自賠責基準では、通院の慰謝料額は、1日につき4,200円として通院日数を乗じて計算するものとされています。この通院期間とは、原則として、事故から完治した日又は症状固定日までの日数のことをいいます。

ですから、通院期間が3か月の場合は、3か月を91日として考えると、91×4,200=382,200円です。そして、通院期間が6か月の場合は、単純に3か月の倍額と考えると、764,400円となります。

これに対して、弁護士基準では、通院期間が3か月の場合は73万円、6か月の場合は116万円とされています。

このようにみていくと、通院期間によっても、基準によってもその金額に大きな差があることが分かります。なお、任意保険基準で算出する場合は、各保険会社によりますが、一般的に弁護士基準と比べると相当低い金額になるといえるでしょう。

ただし、ここで示した金額については、大まかなもので、実際は症状などによっても違います。また、通院期間として認められるためには、通院頻度も重要になるので、具体的な通院慰謝料額は、ご自身のケースに応じて異なることを覚えておきましょう。

6.通院慰謝料と通院頻度

通院慰謝料とはいっても、通院が1年以上に渡るのに通院頻度が1か月あたり2,3回であったり、通院を継続していていても治療より治癒の経過観察の意味合いが強かったりする場合などには、そのすべてを通院期間として計算した慰謝料額を請求できるとは限りません。

この場合、自賠責基準であれば、「通院期間」と「実際に治療した日数×2」の少ない方の日数に4,200円を乗じて通院慰謝料額とします。また、弁護士基準では、通常の怪我であれば、通院期間を限度として、実際に治療した日数の3.5倍程度により計算されます。なお、むちうちで客観的に証明できないものであれば、通常の怪我よりも減額され、通院期間を限度として、実際に治療した日数の3倍程度により計算されます。これは、むちうちに対しては、心理的な要因で痛みが続いて通院が長引くケースも多く、客観的に証明できない場合も多いので、通常の怪我よりも低い金額になるように設定されているためです。

つまり、通院慰謝料は、通院頻度なども考慮され、通院期間として認められる期間に応じて支払われるものといえます。

7.まとめ

交通事故によって怪我を負い通院を余儀なくされた場合に、請求できる通院慰謝料額の算定は、通院期間によります。ですから、怪我が少し良くなったからといって、通院を止めてしまったり、通院頻度が少なくなってしまったりすれば、通院慰謝料として請求できる金額が減ってしまうので、必ず完治又は症状固定まで通院することが大切です。

そして、その基準によっては、3か月の通院期間があっても約2倍の慰謝料の相場の違いが出てきます。適正な慰謝料を得るためにも、自身が加入している任意保険会社の保険に付いている弁護士特約を利用したり、弁護士会や柏市の弁護士による無料相談を利用したりして、早めに弁護士に依頼すると良いでしょう。

参考:国土交通省 自動車総合安全情報(http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html

柏市役所ホームページ(http://www.city.kashiwa.lg.jp/

千葉県警察ホームページ(http://www.police.pref.chiba.jp/